神社は日本固有の宗教である「神道」に基づく宗教施設です。ここでは、より深く神社について掘り下げてみたいと思います。
神道は日本人の暮らしの中から自然発生的に生まれた宗教で、信仰の対象は、「八百万の神(やおよろずのかみ)」です。いわゆるキリスト教や仏教のような一神教とは異なり、海の神、山の神、衣食住の神、国土開拓の神というように、古代の人々は森羅万象あらゆる事物の中に神々を見出し崇拝してきました。そのため神道には経典もなく教祖もいません。
また、一部の歴史ある神社では山そのものを御神体とする神社もありますが、神社の信仰の対象となる御神体は、剣、玉、鉾(ほこ)などが多く、外からは見ることができない場所に祀られていることがほとんどです。
次に、神社に勤める宗教者についてですが、神社には「神主(かんぬし)」や「巫女(巫女)」がいます。神主の正式名称は「神職(しんしょく)」といい、神社において祭事や社務、祈祷などを行なう人のことをいいます。そして、それを補佐する立場の女性を巫女といい、巫女は未婚の女性であることが条件とされています。
一方お寺は、仏教のための宗教施設で、「僧侶」や「尼(あま)」などが住み、修行をする場所でもあります。仏門に入った男性を僧侶またはお坊さんと呼び、女性を尼僧または尼さんと呼んでいます。
そもそも仏教はブッダを開祖として、飛鳥時代に日本に伝来した外来宗教です。その教えを民衆に広める場所となったのがお寺なのです。お寺の本殿には、ご本尊として信仰の対象となる仏像や曼荼羅が祀られています。神社の御神体と違い、お寺のご本尊は私たちの目にふれる場所に祀られているところも特徴の一つです。祀られているご本尊は、阿弥陀如来や大日如来、お釈迦様など宗派や寺院によっても異なります。
葬儀は、故人様の信仰していた宗旨宗派に基づいて行われますが、神社やお寺に違いがあるように、葬儀にも宗教に基づく違いがあります。神道に基づく「神式(しんしき)」の葬儀と仏教に基づく「仏式(ふつしき)」の葬儀では、儀式の内容にも違いがあるため、葬儀を執り行う際には、葬儀社に故人様の信仰する宗旨宗派を伝えて対応してもらうことになります。
神道の葬儀は神式といわれ、「神葬祭(しんそうさい)」として2日間かけて執り行われます。前述の通り神道では死は穢れと考えられているため、葬儀は神社ではなく斎場またはご自宅で行われます。また神道では、亡くなった方は神様となり子孫を見守ってくれると考えられているため、葬儀は故人様をその家の守り神として奉り、穢れを清め、日常を取り戻すために行われます。
続く